傷ついたキャロルは台車に乗せられてどこかへ連れられていた。朦朧としているが意識が再び失われ、次に気づいたのは台車が倒れた時だった。周りをウォーカーに囲まれ、何人かの男たちが戦っている。その中にはモーガンもいた。
キャロルはふらつきながらも男たちの隙をついて逃げ出した。目につく人影が時折生者に見えるキャロル。だが、それらはほとんどがウォーカーだった。やがて、またキャロルは別のウォーカーの群れに囲まれそうになるが、馬に乗った男たちとモーガンが現れ、彼女を救い出す。キャロルは安心したのか、再び気を失った。
次にキャロルが目覚めたのはベッドの上だった。そこは『王国』と呼ばれる街だった。ウッドベリーよりも少々農業の色合いが強いものの、そこは町と呼べる施設だった。
モーガンは彼女を責任者の元に連れていくと言って車いすを押した。責任者は「エゼキエル王」と呼ばれているという。彼の居場所はもともとは小さな劇場と思われる場所だった。そこに入った途端、猛獣の咆哮が響いた。王は虎を飼っていた。
白髪交じりのドレッドヘアを備えた王は、モーガンの知人であるキャロルを歓迎した。そして、王国と王の感想をキャロルに問うた。キャロルは少々浮わついた様子で応え、王に警戒を抱かせないようにした。
かわいらしい一婦人を演じ終えた彼女は劇場を出た後で、モーガンに「騙されない」といった。そして、時機を見て、誰にも言わずに出ていくと宣言した。モーガンは彼女を死なせないと言ったものの、そこにほかの者が歩いてきたため、二人はその場を離れることにした。
『王国』のメンバーは王と共に豚の飼育を行っていた。豚の食料はなんとウォーカーだった。モーガンはこの飼育場所でのことを秘密にしておくようにと念を押される。
飼育場を離れ、王国に戻ったメンバーたち。王はモーガンの棒術に感心し、彼に話しかける。そして、ベンという戦いなれていない若者を訓練してほしいと言う。モーガンは最初は躊躇したが、王の説得に応じることにした。
モーガンがベンの訓練を行っている間に、キャロルは着々と町を離れる準備をしていた。自分の持ち物が様々なところに保管されていたので、目を盗んで回収してまわった。
モーガンは再びエゼキエル王に呼ばれ、ある場所にやってきた。そこには皮をはいだ豚が8頭用意されており、王はあえて町から遠いところに来たと言う。
その後すぐに別のグループの男たちが現れる。男たちは不遜な態度で、豚を数え、時間通りに用意したのは良い心がけだと言う。王は協定を大事にしたいからだと答える。
エゼキエルの部下の一人、リチャードが相手の車に積み込まれていく豚を不機嫌そうに見つめていると、不遜なグループの男の一人がリチャードを挑発し、彼に殴りかかった。しかし、リチャードの身体能力の方がはるかに上で、殴りかかった男は逆にやり込められる。
しかし、協定を重視する王がそれを止めたため、リチャードは捕まえていた男を開放する。代わりに男はリチャードを今度こそ殴る。そして、男たちのグループはその場を走り去っていった。
モーガンがキャロルを救うために殺した男は、その男たちのグループのメンバーなのだと王は教える。
モーガンとベンは食堂で話をしていた。ベンは町の生い立ちを話し、以前に援護が足りず、ベンの父の部隊が壊滅したことで、エゼキエルは慎重になり、今の協定を結んだと話す。その後モーガンは食事を持ってキャロルの部屋を訪れるが、彼女の姿はすでになかった。しかし、彼は慌てることもなく、キャロルが乗っていた車いすを優しい目で見つめるのだった。
夜、キャロルが果樹園で果物をちぎると、ご自由にどうぞという言葉がかかった。驚いたキャロルが顔を上げると、そこには王と側近のジェリーがいた。王はジェリーを人払いし、二人きりでキャロルと話をする。
王はキャロルが持っていた銃は救世主のものだと知っていた。しかし、キャロルは何を知っているのかと突っかかる。外の世界が現実で、王国は幻想だと言うキャロル。
王は皆に祭り上げられて今の立場にいるのだと、気弱な告白を始める。王は元々は動物園の職員で、虎は動物園で大けがしたところを命がけで救ったため、自分に牙をむけないのだと言う。そして、その虎を連れていることで強い男とみなされるようになってしまったとも。
最後に彼はエゼキエルは本名であり、これですべて告白したと告げ、キャロルにも王国でみんなと助け合って生きてほしいと言う。しかし、キャロルはその申し出を断り、やはり出ていくと言ってその場を離れようとした。
そこに王は優しい言葉をかける。悲劇ばかりを見てきたキャロルに、希望もあると伝える。そして彼女はきっと王国に残ることで幸せになれるとも言った。足を止めるキャロル。
翌朝、馬に乗ったモーガンとキャロルは王国の外にいた。二人はキャロルが気を失った家屋の前までやってきて、一度馬を降りた。モーガンは背負っていた物資入りのリュックをキャロルに渡し、その場を去った。
キャロルは家屋に入り、中にいたウォーカーを屠り、暖炉に火を入れる。すると、玄関をノックする音が聞こえた。いぶかしむキャロル。しかし、獣の咆哮が聞こえたことから、尋ね人が誰か悟り、玄関を開けるのだった。