べスが目を覚ましたのはベッドの上だった。病室のような空間。彼女のほほには擦り傷のような大きな傷があり、点滴をうたれていた。
病室のドアを叩き、声を上げると、スティーブンと名乗る医者とドーンという婦警が入ってきた。スティーブンはそこがアトランタの病院だと言う。 彼らはウォーカーに囲まれていたべスを救ったのだと言うが、「一緒にいた男性は?」と尋ねるべスに、あなたは一人だったと告げる。
病院内には一定の秩序が保たれていた。べスのほかにも患者がいたが、回復の見込みが薄い場合は生命時装置を止めて、頭部にナイフを刺した。遺体は冷めないうちにエレベーターホールから一階に落とすことになっており、すると一階をうろついているウォーカーたちがそれを処分してくれるという流れになっていた。
べスが食事をトレイにとろうとしていると、ゴーマンという警察官が話しかけてきた。彼がべスをウォーカーから救って連れてきたというのだ。べスは彼の話には耳を傾けず、その場を離れることにした。
べスにとって、スティーブンだけが唯一話しをできる人物だった。べスは食事のトレイをスティーブンに運び、食べると借りができると言って自分は食べようとしなかった。すると、スティーブンはその食事の一部を「秘密にしておく」と言ってべスに分け与えた。
そこに新たな急患が運ばれてきた。通常はすぐに諦めるほどの重症だが、今回だけはドーンが認めたため、治療をしようと試みる。助かる見込みはあるかと尋ねる彼女に、スティーブンが見込みは非常に薄いし、その患者に資源を投入するのはばかげていると答える。それを聞いて、ドーンはなぜか隣にいたべスの頬を叩く。べスは自分が叩かれた理由も分からず、動揺する。そして、イラついた様子のドーンは治療室を出て行った。べスの頬は傷が開き、血が流れだした。
べスの頬の治療後、また誰かがドーンとゴーマンによって運び込まれる。スティーブンが呼ばれ、その部屋に行くと、腕をウォーカーに噛まれたと思われる女性がベッドに押さえつけられていた。
自分で腕を切るか、私たちが切るか選択しなさいと迫るドーン。女性は、死んでも戻ったりしないと言ってその問いに応えない。ドーンはスティーブンに命じて彼女の腕を切断するが、その方法は刃物によるものではなく、強靭な糸で擦切るというものだった。
べスが血の付いた服をリネン室に持ち込むと、ノアと名乗る黒人の男性がいた。べスはここで貢献すれば出られるのではないかと彼に尋ねるが、ノアは出られた人を見たことがないと言う。そして、彼はドーンは名ばかりのボスで、部下がやりたい放題にしていると教える。
ノアは叔父を探しにここに来たそうだが、時機を見て脱出するつもりで、母の待つリッチモンドという地に戻るのだと言う。
べスが作業をしていると、ドーンがトレイに食事をもってきた。べスはそれをいただくと借りができて外に出るのが遅れると言って食べようとしなかったが、弱った体では十分に働けないと言って、べスに食事をさせる。
べスが部屋で作業をしていると、ゴーマンが部屋に入ってきて、自分の舐めたキャンディをべスの口に押し込んだ。あくまで紳士的ではあるが、セクシャルハラスメントと呼ぶのに十分な行為だった。
そこにスティーブンが現れ、やめさせる。さらにドーンと別の警官が現れたことから、ゴーマンは悔し気に部屋の外に出て行った。
スティーブンはべスを屋上に案内し、アトランタが爆撃された後のことを話始める。スティーブンは物資調達で外に出たときに見つけた男の子を、治療する代わりに治った後は働いて貢献させる、と申し出たのが始まりだと言う。
その後もドーンのおかげで何とか秩序が保たれているのは事実で、スティーブンは自分の責任も感じてそこに居続けているのだと告白した。
夜、べスは重症の男性の治療に当たっていた。薬をすりつぶし、水で溶いた後、注射を行うという簡単な行為だった。注射後、ノアがちょうど部屋の前を通りかかり、声をかけてきた。ところが、直後に患者が痙攣をおこし始め、死んでしまう。
ドーン、スティーブン、ゴーマンが病室にやってきて、事情を問うと、ノアはモップ掛けの最中に生命維持装置のプラグを引っ掛け、抜いてしまったのが原因だと言ってべスをかばう。
ノアがドーンとゴーマンに連れられてどこかへ行ってしまうと、べスはスティーブンに真実を話した。べスはクロザピンを打ったら発作を起こしたと言うと、スティーブンは指示したのはクロナゼパンだと言う。そのとき、ノアの許しを請う声が聞こえてきたため、べスは助けに向かおうとしてスティーブンに止められる。
翌日、ドーンがべスの部屋を訪れ、自分は真実を知っていると言う。しかし、あの場ではノアを罰するしかなかったと言う。そして彼女は世界が救われるまでは善行を積むようにと、それこそが貢献だと、ひたすらべスに言い聞かせる。
ノアは顔に大きなアザを作っていたが、無事だった。べスはノアと共に脱出すると誓う。ノアは脱出に必要なエレベーターの鍵がドーンの部屋にあるので、自分がドーンを見張っている間に探して取ってきて欲しいと言う。
ドーンがノアに作業の指示を出している間に、べスはドーンのオフィスを訪れる。鍵を探していると、オフィスに腕を切断された女性(ジョーン)が倒れているのを発見した。しかし、それに構うことはできず、鍵を探し続けるべス。
やがて机の引き出しに鍵を見つけたところで、ゴーマンが偶然オフィスに入ってきた。ゴーマンはこのことを黙っておく代わりに、自分に従えと言ってべスの体を触り始める。べスは視線を落として、ジョーンの指が動き始めていることに気付き、ゴーマンに体を触らせている最中に後頭部に花瓶をたたきつけ、彼を倒れこませる。ゴーマンが倒れた先には転化したジョーンがおり、すぐさま首の肉を食いちぎられ、ゴーマンは絶命する。べスはゴーマンの拳銃を奪ってその部屋を出る。
べスはノアの元に戻りつつ、途中でドーンとすれ違ったときに、ジョーンがドーンを探して、ゴーマンと共にオフィスで待っていると伝えた。
その後、ノアと共にエレベーターホールから下へ降りた。エレベーターだったものにはたくさんの投げ捨てられた遺体が積上げられており、ところどころにウォーカーの気配を感じる。べスはゴーマンから奪った拳銃でそれらを葬り、外へと脱出する。
しかし、外はまたウォーカーにあふれていた。それらをかいくぐりながら病院の敷地を脱出しようとする2人。べスは足を痛めているノアを先に行かせ、拳銃でウォーカーを引き付ける。
弾が切れるころ、自分ではない誰かの銃撃によってウォーカーの頭が弾けた。見れば病院の警官が数人べスの周りにおり、そのうちの1人が彼女を取り押さえる。しかし、ノアはすでに敷地の外まで逃れることに成功しており、べスを振り返りながらも走りさった。
連れ戻されたべスは、ドーンに真っ向から対峙した。ジョーンやゴーマンが死んだのは、ゴーマンの愚行を見て見ぬふりしたドーンのせいであり、助けは来ないと言い放った。何も言い返せなくなったドーンは暴力でそれに応えた。
顔にさらにアザを負ったべスの診察後、スティーブンはべスの言葉に足を止めざるを得なかった。べスに誤った薬をうたせた男性は医師で、彼を殺さなくては自分が不要になるのではないかという恐れから、そのようにしたのだと、べスは推理した。
スティーブンはおびえながらも、自分が助かるために必要なものは利用すると言って部屋を出て行った。部屋に残されたべスはテーブルの上に医療用のハサミを見つけ、それを手に取ってスティーブンに歩み寄る。
そのとき、また患者が運び込まれてきた。短髪のその女性は全身にけがをしているように見えたが、それは他でもない、キャロルだった。